AS21227-刀:波平貞安

刀:白鞘入り、拵え付き(特別保存刀剣)(委託品)
銘:波平貞安
天文二年八月日

当社では刀工の出来によって最上作、上々作、上作、普通作を記載しております
本作の出来は 波平貞安としては上々作にランクされる作品です。
藤代刀工辞典:末古刀:中上作:薩摩
研磨済み
はばき:金着一重
刃長:68.1センチ
反り:2.2センチ
目釘穴:3個
元幅:2.92センチ
先幅:2.035センチ
重ね:0.53センチ
刀身重量: 635グラム
時代:室町時代末期 天文2年
体配:身幅、重ね尋常な反りが深くつき
鋒がのびた体配の良い刀です。
地鉄:板目肌に杢目肌がよく混じり地沸がつき
地景が入り白気映りが淡く入る。
鎬地:板目肌に柾がかり細かくよく練れた地金となる。
刃紋:沸出来直刃、刃縁柔らかく足が盛に働き
帽子、丸みを帯びて先、掃掛となる。

特徴:波平貞安は波平の室町時代末期の刀工で作品数が少ない。
体配が優美で相当な技量をもっていた刀工と考えられます。
薩摩国谷山郡谷山郷波平の集団鍛冶がおり
一ノ谷合戦の時に猪俣則綱が怪力無双といわれ
越中前司盛俊の首を上げた時の刀が波平国住の刀であったと
言われております。明智光秀の家臣斎藤利次の刀は
四尺は八寸もある波平であったと言わている。

拵:太刀拵え
鍔:木瓜型赤銅石目地に耳には赤銅を立ち上げる
縁頭:赤銅石目地に周りを金で線を入れる
鐺、そのほかの金具は赤銅石目地に金線を入れる
鞘:変わり塗り鞘
目貫:赤銅地で龍の図柄を高彫し金で色絵をほどこす

葵美術より一言:本作は体配はよく地金はよく練れて肌立ち地沸がつき地景が混じり刃紋は直刃出来で刃縁が
柔らかく刃中の働きがあり帽子は乱れ込んで掃掛となります。
銘の切り方も面白く雅味があり楽しくなります。 波平鍛冶は正
国以来連綿と続き古波平、中波平、末波平
と分けられ新刀期を経て新新ま刀末期までに至る。 本作は実に地
金が肌立ち独特の風情を持ち最上級の
研磨によって地金、刃紋がよく引き出され見るものに感激を呼び戻すのです。よくみると細かな金筋が働き
帽子の刃紋にも変化があり私は是非みなさまにお勧めしたい作品です。瑕や欠点はありません。
付属としてついている太刀拵えは素晴らしい作品で実用本位で制作された作品で素晴らしい出来です。
派手さはありませんがこの作品は御委託品ですが私はこの格調ある
作品を是非お勧めいたします。きっとご満足されるでしょう。

特別保存刀剣鑑定書
葵美術評価鑑定書
全身押し形