AS20087-刀:無銘 (肥前忠国)

刀:拵え入り(保存刀剣)
銘: 無銘 (肥前忠国)

新刀:上作:業物:肥前
当社では刀工の出来によって最上作、上々作、上作、普通作を記載しております
本作の出来は無銘 (肥前忠国)としては上々作にランクされる作品です。
研磨済み
はばき:金着せ二重
刃長71.7センチ
反り:2.2センチ
目釘穴:1個
元幅:3.0センチ
先幅:2.25センチ
重ね:0.7センチ
刀身重量: 745グラム
時代:江戸時代寛文の頃 1661年
体配:大摺上無名で身幅が広め、重ね厚く反りが付き、
切先が伸びる体配の良い作品。
地鉄:小板目肌実に良く詰んで地錵が良く付き奇麗な小糠肌すなわち肥前肌となる。
刃紋:錵出来互の目乱れ、匂口の深い互の目乱れ
刃中、足、葉が働き刃中、砂流し、金筋が良く働く。

特徴:播磨大掾藤原忠国は、初代忠吉の弟である吉家の子で名は
橋本六郎左衛門。初名は広則。寛永11年(1634年)に播磨大掾を受領し、
忠国と改名する。播磨大掾藤原忠国、肥前住播磨大掾藤原忠国、
肥前住播磨入道藤原休鉄などと銘切りしました。彼は肥前刀の中
で脇肥前と称されているが夏雲のわき上がる風情ある刃紋は他の
追随を許さず彼の独壇場であった。
初代忠吉の武蔵大掾銘や二代忠広の代作を行い傑作刀には彼の作品が多い。
本作の匂口の深い刃紋の出来は忠国の典型的な作です。
大摺上無銘が摺上にされてしまったのがもったいない。

拵:
鍔:厚手のがっしりとした円形の鐵鍔に文様を透かし尾張と思わせる雰囲気を感じさせ
る作品
縁頭: 縁には鉄地に獅子の図柄を高彫りし、金色絵をほどこす。頭は鉄地に牡丹の図
柄を高彫りし、金と銀色絵をほどこす。
鞘: 黒路色鞘に細かな点模様を全面に入れた見事な鞘です。
目貫:赤銅地 で麒麟と思われる図柄を高彫りし、金色絵をほどこす。

葵美術より一言:本作の刀は大摺上無名とされた作品ですが
抜群の出来をしており在銘であったなら重要
刀剣に合格出来る実力の刃紋をしております。私が新刀鍛
冶で最も評価をしている正広、忠国の最高傑作刀に該当する出来映えを示しております。
佐賀から長崎に向かう右手に見える山並みに真っ青な空に白
い雲に浮かぶ大きく現れた積乱雲を思わせる
その姿を刀身に表現させた肥前刀の見事な作品は変化に富み、
よくぞここまで仕上げたと感服させられるのです。
無銘に摺上られた事は悔やまれますが一見して忠国、正広と断定でくる作品で、居合にも向いている体配をしているので,是非お薦めしたい最高級の出来であると確信致します。

保存刀剣鑑定書
葵美術評価鑑定書:全身押し形